店舗物件の選定はとても重要です。どのくらい重要かというと、最重要事項トップ3に入ると思います。希望通りの物件がタイミングよく空けば、良縁と言ってよいでしょう。ですが、好条件の物件ほど空いていることは少ないです。
ただ、2020年のコロナ禍で、通常であれば空くはずもないような人気物件が空いていることも少なくないので、チャンスかもしれません。
店舗物件探しのポイント
まず、出店を考えている地域の人口比率や人の動線など把握しておく必要があります。ターゲット層がどのくらいいて、どのような人の流れなのか必ず確認した方が良いでしょう。
同業他社に学ぶ
地域や出店場所を検討する一番簡単な方法は、うまくいっている同業他社がどのような地域のどのような場所に出店しているのか調べることです。激戦区で勝負をするのもいいですが、穴場は必ずありますので徹底的にリサーチしましょう。物件は一度契約したらそう簡単には移転できませんので、日ごろからアンテナを張って探していきましょう。
スケルトンか居抜きか
その他にも、スケルトンか居抜き物件かも検討する必要があります。当然スケルトンの方が自由度が高い分、かかる費用は高額になります。居抜き物件は費用は抑えられますが、自分のこだわりはあまり盛り込めません。財布と相談しながら選びましょう。
探し始めるタイミング
地域が決まったらいよいよ物件探しですが、準備の早い段階から探すのはやめた方が良いです。仮に良い物件が見つかったとしても、本契約してしまうと家賃などの経費がかかってきますので、それだけ資金が減ってしまいます。せっかく見つけても契約できなければ、意味がありませんし、逃した魚はデカかったとなりかねません。
融資が下りる少し前を目安に行動を起こすことをおすすめします。
物件は出会いです。条件に100%合致した物件に出会えることは非常に少ないので、妥協も必要になってきます。与えられた条件下で効果を最大化する工夫を心掛けましょう。大切なのは、「お店はその地域の人たちに必要とされていてこそ存続する」ということです。出店場所は重要ですが、それだけで成功することはありません。ある程度の妥協はよしとする気持ちで探していきましょう。
家賃設定はあらかじめ決めておく
家賃設定は、想定される月間売り上げの10%以内に抑えましょう。家賃などの固定費は必ず払わなければいけない経費です。理想と現実をしっかりと見極めることが肝要です。背伸びして高めの物件に手を出すと、あとあとボディーブローのように効いてきます。
管理会社との付き合い方
通常、店舗を借りる際には、管理会社である不動産屋に相談をするのですが、管理会社はオーナーから物件の管理を委託されているに過ぎません。仲介手数料と物件管理費が売り上げとなります。ですので、ほとんどの管理会社は、契約を早く済ませて次の契約に取り掛かりたいと考えています。管理物件に対してネガティブなことを言うことはありません。あくまでもオーナーサイドだと思って接した方が良いと思います。
当たり前かもしれませんが、まずは自分の足で探しましょう。大抵は空き物件に管理会社の連絡先が書かれていますので、気になったら連絡してみましょう。インターネットで検索するのはとても有効ですが、必ず現地に赴いて人の流れなどを肌で感じることが肝要です。
物件契約書と融資審査
物件探しのタイミングは融資審査の2、3か月くらい前からが良いでしょう。なぜなら、融資審査には物件の契約書が必要だからです。
融資先は確実に開業をする意思があるか確認するために賃貸契約書の提出を求めてきます。ですが、こちらとしては、融資が下りていない状態で物件を契約するのはリスクがあります。
なので、その場合は、不動産管理会社に相談をして融資審査のための仮契約書を作成してもらいましょう。そして、融資が下りたら契約する旨を伝えれば大抵は問題はないはずです。管理会社は契約を急かして来るかもしれませんが、物件契約は慎重にしましょう。
内装業者にアドバイスをもらう
また、契約前に内装業者に物件を見てもらい意見を聞くことも忘れないようにしましょう。内装業者は職業柄いろいろな物件を見てきていますので、何かヒントになるようなことを言ってくれるかもしれません。
内装業者を巻き込むことができると有益なアドバイスをもらえる場合もあります。しかし、自分にとって唯一無二の大切なお店であっても、内装業者にとっては、数ある案件の一つに過ぎないということも事実ですので、あまり頼りすぎるのも良くありません。内装業者も相見積もりを取るなどして対策しましょう。
物件の注意ポイント
私は物件を探し始めてほどなく良さそうな物件に出会いましたが、話を進めていく過程で勘みたいなものが働き、少し立ち止まって冷静に再検討してみようとなりました。
googleMapで住所検索をしてみたり、周りのお店が開店してからどのくらい経っているのかなどを調べ直しました。すると問題点が次々と出てきたので、契約寸前でしたがキャンセルする運びとなったのです。
その物件は新築で、スケルトンだったのですが、同じ通りに4件の店舗が営業しており、雰囲気は悪くなく、少し路地に入っていましたが、個人的には好印象でした。
それでも一回冷静になり、調べ直してみると、周りの店舗の入れ替わりが激しく新しいお店ばかりだったこと、住所検索をしてもピンポイントで建物が表示されなかったことなど問題が露見しました。
今の時代に、検索で出てこないような物件があるなんて考えてもいなかったので、思い返すだけでもゾッとします。自分がどれだけ前のめりになっていたのかを再確認しました。そして、管理会社の担当者にその旨を伝えてみたところ、何とも言えない顔をして言葉を濁していました。管理会社はオーナーの側に立って仕事をしていることを再確認した次第です。
ちなみに、2年ほど経った今、その物件と同じ通りにあった店舗4件のうち2件が新しいお店に替わっていました。怖すぎます。
物件は自分で決めなくてはなりません。後悔のないように徹底的にリサーチしましょう。